カウンセリング用語集

交流分析


 アメリカの精神科医エリック・バーンによって1950年代に提唱されたもの。自我状態の機能分析、やりとり分析、人生脚本など、いくつかの分析や理論から成り立っている。
 特に、今抱えている生きづらさや問題は、人生脚本(親との関係性から、その環境に適応し生き延びるために身につけた思考・感情・行動パターンにより、人生をこう生きよう決断したもの)が大きく影響している。
 その脚本に気づき、脚本から脱却し、自律性(気づき、自発性、親密さ)を獲得していくことを目指す。 

 


【 12の禁止令 】(言語・非言語によるメッセージ)

交流分析における、親から子どもに向かって与えられる否定的なメッセージ(禁止令)。言葉や態度によって与えられ、脚本に大きな影響をもたらすものとなる。

 

① 【存在するな】

虐待や育児放棄などの行動や、無視をするなどの態度、「お前さえいなければ…」「生まなければよかった」といったメッセージによって与えられる。 禁止令の中でも特につらいものである。この禁止令により、「自分は存在しない方がいい」「自分は生きる価値がない」「自分は愛されない存在だ」と感じてしまう。大人になってからも、強い自己否定感を持ち続けたり、自分の存在を認めてもらおうと頑張り過ぎたり、うつ病になる場合も。

 

② 【「お前(の性・属性)であるな」 】

親が望んでいたのと違う性で生まれなかった子供に対し「本当は男(女)の子が欲しかったのに…」という言動、自分の性とは違う服を着させられたりすることなどで与えられる。また、容姿や知性、気質など、本来の属性に対し否定されたり、他の子と比べるような言動によっても与えられる。自分の性別や属性に自信がもてなくなったり、親が喜ぶ本来の性とは逆の性で生きようとしたり、他の子のようにあらねばと思ってしまったりする。

 

③ 【子どもであるな(楽しむな・遊ぶな)】

「お姉ちゃんなんだからしっかりしなさい」「お兄ちゃんだけが頼りよ」と言われたり、弟や妹の面倒を見ていると親が喜んだり、下に弟や妹がいる年上の子供が受け取りやすい。また、親が病気がちだったり、依存的で、親の世話や家事をしなければならなかった場合や、子供らしい振る舞いをした際に否定された場合にも受け取るメッセージである。子供らしく楽しんだり、遊ぶことよりも、人の面倒をみることを優先してしまう。

 

④ 【成長するな】

親が子離れできず、いつまでも子供扱いしたり、過保護・過干渉で何でも親がしてしまうような、末っ子や一人っ子が受け取りやすいメッセージ。成長しない方が親が喜ぶため、子供っぽく振る舞ったり、面倒をみてもらおうとする。そのため、大人になってからも自立できず、他人に頼ったり、自信が持てなかったりする。また、化粧やおしゃれなどを含め、性的に成長することを禁じるような言動から与えられるメッセージでもある。

 

⑤ 【成功するな】

上手くいった時は、褒めたり関心を示さないのに、失敗した時だけ優しく励まされたり、完璧主義者の親から「こんな点数ではまだダメだ」「肝心なところで失敗する」と絶えず批判されたり、子供の成功に嫉妬して、子供の成功を喜べない親から受け取るメッセージ。大人になってからも、自分は成功できないと思いこんだり、自分の成功が喜べなかったり、成功しそうなあと一歩のところで失敗したり投げ出したりする。

 

⑥ 【~するな】

恐怖心が強く、心配症の親が「これは危ないからダメ」「あっちへ行ってはダメ」と、子供の好奇心や自由な振る舞いを制限したり、過保護から親が先回りして何でもやってしまう場合に受け取るメッセージ。自分がすることで、安全なこと、正しいことはない、自分は何もしない方がいいんだと思ってしまう。大人になってからも、自分から行動することに消極的になったり、指示をしてくれる人がいないと不安になる。

 

⑦ 【重要であるな】

自分の言いたいことを主張したり、欲求を表現した際に、馬鹿にしたり、「子供は口を出すな」「あっちへ行ってなさい」と怒られたり、テストで良い成績をとっても無視されたりすることで受け取るメッセージ。「私は重要でない」「自分を出さないようにしよう」と思い、大人になってからも、自己主張ができず、消極的になる。また、リーダーなど人の上に立つ立場になると困惑したり、思うように力を発揮できなくなることも。

 

⑧ 【所属するな】

「あの子と口をきくな」など、親が友達を選んだり、部活などの活動を制限する言動、家族や集団の輪に入れてもらえない、親が非社交的な場合などにより受け取る。また、親から「他の子とは違う」と特別扱いされたり、国籍などの文化的な違い、転校を繰り返す場合にも受け取る。大人になってからも、職場やグループになじめず、居心地が悪く感じたり、親しくなりかけると自分から離れてしまうなど、一人でいる方が楽だと思うようになる。

 

⑨ 【近づくな(親しくなるな・信用するな】

虐待や、子供が近づいた際「あっち行ってなさい」と遠ざけたり、子供とスキンシップを取らない、親の死別、離婚などで親と離れたり、転校により親しい友達と離れる経験から受け取る。大人になってからも「近づいたら傷つく」「親しくなってもどうせ離れる」と思い、親密な関係を築けなかったり、親が人に裏切られた経験などから、人を信用してはいけないと教えられ「人を信用しない方がいい」と思うなど、人間関係に影響が出る。

 

⑩ 【健康であるな】 

子供が健康な時は無関心なのに、病気の時だけ優しく世話をしてもらえることで受け取るメッセージ。また、家族の誰かが入退院を繰り返していたり、親が精神疾患だったり、おかしな言動をした時だけ関心を向けてもらえた場合にも受け取る。子供は「病気でいた方がいい」と思うようになり、大人になってからも、無意識にしょっちゅう病気やけがをしたり、おかしな言動をすることで、周りの関心を向けようとする。

 

⑪ 【考えるな】

子どもが自分で考えたことに対して馬鹿にする、否定する、無視する、「黙って言うことをきけ」「口答えするな」といった威圧的な言動、何でも親が考えて指示をすることなどから受け取る。子供は、「自分で考えない方がいい」と思い、大人になってからも、考えなければいけない状況で混乱したり、考えることを放棄し「分かりません」と答えたり、自分の考えに自信が持てず、消極的になり、周りに従ってしまうことも。

 

⑫【感じるな】

「男は泣くな」「我慢しなさい」「女の子は笑っていなさい」など、特定の感情を押さえ込まれたり、素直な感情を表現すると怒られたり、親自身が感情表現が苦手な場合に受け取るメッセージ。子供は「感じないようにしよう」「我慢しよう」と思い、大人になってからも、自分の感情を感じられない、感情が分からない、感じても表現できないなどの影響が出る。



【 拮抗禁止令(5つのドライバー)】

「きちんとしなさい」「頑張って勉強しなさい」など、親の価値観や道徳観により、しつけとして親から繰り返し言語で与えられるもの。その中で、強すぎて駆り立てられ、強迫的に従わなければならない5つのメッセージを「ドライバー」という。そして、「頑張って勉強しているなら、存在してよい」のように禁止令と拮抗していることから「拮抗禁止令」とも呼ばれる。拮抗禁止令に従っている限りは、禁止令に従わなくいていいが、拮抗禁止令に捉われ過ぎると生きづらさを抱えることになる。

 

① 【完全であれ】

幼少期、何かしようとすると親から繰り返し「完全にやりなさい」と言われたことにより、大人になってからも、何でも「完全でなければならない」と決断するドライバー。完璧主義で自分にも他人にも厳しく、常に完全を求めるため、有能であるが、自分を追い込んだり、他人のミスを指摘しがち。失敗や批判を怖れ、どこまでやっても達成感が得られないため自信が持てず、完全でない状態に焦りや不安、劣等感やストレスを感じることも多い。

 

身体的特徴:正しい姿勢、整った声のトーン、「きちんと」「ちゃんと」などの口癖、「一つ目に~」など順序立てて話す、話の合間に視線が天井を向く、硬い表情、など。

 

② 【他人を喜ばせよ】

幼少期、親から繰り返し「人を喜ばせなさい」と言われたことにより、大人になってからも「他人に喜んでもらわなければならない」と決断するドライバー。他人に優しく、喜んでもらえるように努めるが、逆に、他人も自分を喜ばせるものだと思っている。自分より他人を満たすことを優先するため、自己主張できず、周りに気を遣い過ぎて疲れることも。他人からの承認が自己価値となっているため、他人からの拒絶や嫌われることを怖れる。

 

身体的特徴:前かがみ、低姿勢、高い声、穏やかな口調、「~でしょ?」「いい?」など疑問の言葉、緊張を伴う微笑み、上目づかい、など。

 

③ 【努力せよ 】(一生懸命にやれ、満足するな)

幼少期、親から繰り返し「一生懸命努力しなさい」と言われたことにより、大人になってからも「何事においても努力が肝心だ」と決断するドライバー。努力することが目的になっているため、結果が二の次になったり、結果が伴わないことも。常に努力していないと認められないと思っているため、向上心はあるが、仕事を頑張り過ぎたり、力を抜くことやリラックスすることができない傾向も。また、どこまで努力しても不安を抱えていたりする。

 

身体的特徴:前かがみ、眉間にしわ、喉に力が入ったこもった口調、「努力します」が口癖、「何?」「~するのは大変だ」「~できません」などの言葉、手を固く握る、など。

 

④ 【強くあれ】

幼少期、親から繰り返し「泣くな」「我慢しなさい」と言われたことにより、大人になってからも、人に弱さを見せず、喜怒哀楽を表に出さず、常に「強くあらねば」と決断するドライバー。「弱い」と思われることを怖れ、体調が悪くても我慢や無理をしたり、人に頼らず仕事を抱え込んだり、ストレスを溜めやすい。また、簡単に喜怒哀楽を表現する人や、すぐ人に頼るタイプに対して、怒りが沸いたり、軽蔑することも。

 

身体的特徴:無表情、声の調子は低く平坦、足や腕を組む、身振り手振りはない、「~させられる」などの自分の責任ではなく周りによるものだという言葉、など。

 

⑤ 【急げ】

幼少期、親から繰り返し「急ぎなさい」「早くしなさい」と言われたことにより、大人になってからも、常に時間を気にしたり、せわしなく「急がねば」「早くせねば」と決断するドライバー。じっとすることやのんびりすることが苦手で、常にセカセカして、何もせずに待つことができないため、本を読んだり、時計を頻繁に観たり、貧乏ゆすりをしたり、常に何かをしている。仕事は早いが、中途半端だったり、確認不足などにより精度が低いことも。

 

身体的特徴:マシンガンのような早口、机をコツコツ叩いたり、イライラした印象、せわしなく視線の向きが変化する、「早く」「急いで」「~の時間がない」などの言葉、など。



セクシャルマイノリティ

LGBTQ

L(レズビアン)

自身のことを女性として認識しており、かつ性的指向が女性に向いている

身体の性と心の性が女性であり、かつ性的指向が女性である

 

G(ゲイ)

自身のことを男性として認識しており、かつ性的指向が男性に向いている

身体の性と心の性が男性であり、かつ性的指向が男性である

 

B(バイセクシュアル)

性自認に関係なく、男性と女性に性的指向が向いている

身体の性と心の性は一致している、かつ性的指向が男性にも女性にも向く

 

T(トランスジェンダー)

身体と心の性が一致しないため、身体の性に違和感を持つ 性同一性障害を含む

 

Q(クエスチョニング) 自身のセクシュアリティがどのようなものか悩んでいる、意図的に決めていない、または決まっていないセクシュアリティ

 

【アセクシュアル(エイセクシャル)】

・他者に対して性的欲求や恋愛感情を抱かない

・他者に対して性的欲求を抱かない

(恋愛感情は抱くセクシュアリティをノンセクシュアルと表することもある)

 

友情や家族愛を感じない、他人に人間的な魅力を感じない、結婚願望がない、 と誤解されることもあるが、そうではない。

 

【Xジェンダー】

自身のことを男性/女性のどちらかであると思っていないセクシュアリティ(性自認において)

(身体的性は関連しない)

 

・中性…男性と女性の間だと自認しているにいる

・両性…男性でも女性でもある(男性かつ女性)と自認している

・無性…男性でも女性でもないと自認している

・不定性…ある時は男性、ある時は女性として流動的な自認をもつ

 

【ノンバイナリー】

自分の性認識に男性か女性かという枠組みを当てはめようとしない(性自認・性表現において)

(身体的性は関連しない)

 

※バイアナリーとは、二つの要素で構成されるものを指す言葉。

 ジェンダーバイナリーは、男性か女性かの二択のみの生物的性で分類する考え方。

 その男女二元論に捉われない考え方がノンバイナリー。

 

【クィア】

すべてのセクシュアル・マイノリティを含む言葉で、性的指向に対する概念も含む。

 少数派であるがゆえ、偏見や差別により傷つくことを恐れ、嫌われるのではないか、変な目で見られるのではないかと、親しい人にすら、自分のことを隠すことが当たり前になってしまいます。

 本音を出せないことのつらさ、分かってもらえない寂しさを抱え、少数派であることがバレないよう、会話などに敏感になり、多数派であるようなフリをしたり、周りに合わせたりすることに疲れてしまう。

 そして、自分らしくいたいだけなのに、社会から否定されているような生きづらさを感じてしまいます。

 

 誤った知識やそもそも知らないということで、偏見や差別に繋がっていることもあるように感じます。

 当事者 が隠している以上、知ってもらうことはできないのですが、隠さないといけないような特別なものとして見られ ている社会があることで隠さざるを得なくなっているとも言えます。

 本来、多数派も少数派も、存在していい。 

 どちらの存在も受け容れ合えるような世の中になっていくためにも、自分の心の在り方、自分の軸を持つことが大切だと感じます。