交流分析における、親から子どもに向かって与えられる否定的なメッセージ(禁止令)。言葉や態度によって与えられ、脚本に大きな影響をもたらすものとなる。
① 【~するな】
子どもが思考錯誤したり、挑戦したり、自由に行うことを禁止するもの。恐怖心の強い親の不安から伝えられたり、しつけが厳しかったり、過保護で些細なことまで注意したりするような家庭で受け取る禁止令。「危ないからやめなさい」「そっちへ行ってはいけない」などと、行動を規制されるたびに、「自分は何もしない方がいい」と判断してしまい、大人になってからも積極性に欠けたり、人の意見に従うばかりになったり、指示をもらわないと自主的に行動できなくなったりする。
② 【存在するな】
これは、禁止令の中で最もつらいもの。「生まなきゃよかった」という言葉を浴びせられたり、そう感じさせるような虐待行為、ネグレクト、あからさまな無視や、子供を邪魔にしたような態度、「お前さえいなければ、私の人生はもっと良かった」など、親の不幸をまるで子供の側にあるようなメッセージにより、「自分は存在しないほうがいい」と決断する。今までに、自分は価値が無い、愛されるに値しないと思ったり、自分の体や命を大切にできないと感じたり、死にたいと思ったことがあるならば、このメッセージを受けている可能性が高い。
③ 【成長するな】
子供が何かしようとすることに、まだ早いとか、「お母さんがやってあげるわよ」と何かと親が手を出すことで受け取る。子供は成長せずいつまでも可愛くいて欲しい存在だと思う親から、過保護・過干渉に育てられたり、末っ子で甘やかされて育ったりした人が持ちやすい。このメッセージを受けた子供は、自分は何もしない方がいい、いつまでも幼稚でいる方が親は喜ぶと決断し、大人になってからも一人では何もできず、他人を頼りにするようになったり、親から自立できなかったりする。
④ 【子供であるな】
兄弟で年上の子供が、下の兄弟の面倒を見るように言われたり、「あなたはお姉ちゃんなんだから、しっかりしなさい」とか、父親が早く亡くなった長男に母親が「お前だけが頼りだ」などと言うことで受け取るメッセージ。これを受け取ると、無邪気な子供らしくいることよりも、しっかりしよう、頼られる存在でいようと、年齢以上に背伸びしたり、強がることを決断し、大人になってからも、責任感が必要以上に強くなったり、自由にのびのびと行動したり、楽しむことができなくなったり、自分の感情よりも、人が望むことを優先しようとするようになる。
⑤ 【成功するな】
完全主義の親から何をやっても褒めてもらえなかったり、「お前は何をやってもダメだ」「お前は肝心なところで必ず失敗する」などと言われ続けたり、「そんなやり方ではダメ」と親が手を出したりすることで受け取るメッセージ。これを受け取った子供は、自分は成功してはいけないと決断し、最後まで成し遂げることが難しくなったり、成功しても成功を感じなくなったり、いい結果が確実に出るような時に限って熱を出したり、遅刻したりといった無意識に失敗するような結果を生んだりするようになる。
⑥ 【男(女)であるな】
「本当は男(女)の子が欲しかったのに、女(男)の子だった…」と、別の性で生まれることを望むような発言をされたり、母親が「女は何かと損だわ」などと言われた女の子など、女兄妹ばかりが可愛がられているような環境で育った男の子は、自分本来の性別ではいけないのではないか、親が喜ぶ性でなければいけないのではないか、と受け取る。大人になってからも、自分本来の性別や自分自身に自信を持てなくなったり、アイデンティティの確立が難しくなったり、周りの評価や常識を気にしがちになったり、女性のような男性、男性のような女性になりやすい。
⑦ 【健康であるな】
子供が病気の時は熱心に世話を焼くが、健康な時には全く構わないような親から受け取ったり、両親が喧嘩をしている時に病気になると、世話を焼くことで喧嘩が収まったり、家族の中に入退院を繰り返す人がいたりすることで受け取るメッセージ。これを受け取った子供は、「病気でいよう」「病気でいる方が親の愛情を受け取れる」と決断する。大人になってからも、しょっちゅう病気をしたり、健康管理に無頓着になったり、病気や怪我をすることで同情を引こうとしたり、ちょっとした風邪や怪我でも大袈裟に表現するようになる。
⑧ 【所属するな】
「あの子と口をきいてはいけません」と親が友達を選んだり、「ほかの子がそうしてても、うちではそういうことはさせません」と制限したり、親自身が非社交的で、親戚や近所づきあいを好まないことや、「あなたは他の子達とは違うんだから」と特別扱いをされることで受け取るメッセージ。これを受け取ると、学校や職場でグループに溶け込めなかったり、集団にいながらも自分だけ浮いているような感覚になり、一人でいることが多くなったり、親しくなることを避けたりしてしまう。
⑨ 【重要であるな】
「子供は口を出すな」「子供はあっち行ってなさい」と言われたり、邪魔にされたり、親の立場が強調され子供は後回しにされるような場合や、テストで良い点を取っても、褒めたり関心を持ってもらえないことで受け取るメッセージ。これを受け取ると、「自分は重要であってはいけない」と決断し、大人になってからも常に目立たないように心がけたり、責任を負うのを嫌ったり、自分を捨て、自己主張せず、常に消極的な役割でいようとしたり、リーダーに抜擢されると、優秀にも関わらず力を発揮できなかったり、パニックに陥ったりする。
⑩ 【愛するな・信用するな】
「忙しいから後にして」など、親が忙しくて構ってもらえなかったり、子供が近づくことを嫌がったり、距離を取ったり、離婚、別居、親の病気などのために、親から十分に愛された体験が少ない、夫婦喧嘩、親族間の仲間割れなど、人間関係が壊れる姿を見る機会が多いことで受け取るメッセージ。これを受け取ると、親に自分の気持ちを聞いてもらうことを避けたり、人は信用できないと決断。大人になってからも、プライベートを打ち明けない、悩みがあっても人に相談せず我慢する、愛情を表現したり受け取ったりすることが苦手となり、他者と親密な関係を築けなかったりする。
⑪ 【考えるな】
「親に口答えするな!」「黙って親の言うことを聞いていればいいんだ!」など、子供が考えて発言したことを否定したり、非難したり、親が間違ったことを指摘した際に「生意気だ!」と聞かなかったりすることで受け取るメッセージ。これを受け取ると、自分で考えることを放棄し、親の言うとおりにしよう、無駄な考えはしない方がいいと決断する。大人になってからも、論理的に物事を考えることが苦手になったり、考えることは人に任せたり、自発的に考えたり判断しなければいけない場面で、混乱したり、頭が真っ白になったりする。
⑫【感じるな】
「男の子は泣いてはいけない」とか、転んで痛くても「我慢しなさい」と言われたり、「女の子は怒ってはいけない」など、素直な感情や欲求を出せないことで受け取るメッセージ。喜怒哀楽を素直に表現してはいけないと決断し、大人になってからも、自分の感情を抑え込み、泣いたり、怒ったりすることがない、表情が乏しい、物事に無関心・無感動になったり、何でも我慢したりするようになる。
交流分析における、親から明確に言葉で伝えられるメッセージ。拮抗禁止令とも呼ばれ、親から駆り立てるように言われたメッセージ。社会適応のためにはポジティブなメッセージでもあるが、過度の場合は窮屈感、圧迫感となる。また、ドライバーに従っていることで禁止令を隠している場合、例えば、ドライバーに従っている限り存在していてよい、従っていない自分はOKではない、となるとネガティブな脚本の一部となる。
① 【完全であれ】
親から繰り返し「きちんとやりなさい」「完全にやりなさい」と言わたことで、大人になってからも、何ごとも完璧にこなそうとする完璧主義となり、自分はもちろん、他人にも完全であることを求めてしまったり、他人のできていない点を指摘したくなる。常に何か不足しているように感じ、何をやってもこれでOKという満足感が持てない。また、きちんと話そうとするため、前置きが長くなったり、「1つめは~、2つめは~」「きちんと~」「ちゃんと~」などの表現を使うことが多い。相手の質問にも完全に答えないといけないプレッシャーを感じ、うまく対応できないことに落ち込みやすい。オーバーなジェスチャー、きちんとした姿勢や服装、堅苦しくとっつきにくい印象を持たれることもある。
② 【一生懸命努力せよ】
親から繰り返し「もっと頑張りなさい」「一生懸命努力しなさい」と言われたことで、大人になってからも「何事も努力が肝心だ」「結果よりも努力することが大事」だと思うようになる。より良く答えようとするため、質問に、端的に答えず、歯切れが悪く、煮え切らないことが多い。「頑張ります」「努力します」などの表現を使うことが多い。努力を惜しまないため、向上心に優れている一方、頑張り過ぎて疲弊してしまったり、そこまで努力をしても、まだ努力が足りないのではと追い込んでしまうことも。前のめりで身体に力が入った姿勢、厳しい表情などが特徴として見られる。
③ 【他人を喜ばせよ】
親から繰り返し「親を喜ばせなさい」と言われたことで、大人になってからも「他人を喜ばせないといけない」と思い、常に周りに気を遣い、気を配り、他人には優しく接し、喜んでもらえるように努める。周りから拒否されないように自分を犠牲にしてまでも他人に尽くしてしまうため、自分自身を労わることが疎かになり、疲弊する。低姿勢で、穏やかな声や表情で、愛想も良いため、他人から喜ばれる反面、八方美人のような印象を持たれることも。
④ 【急げ】
親から繰り返し「早くしなさい」「急ぎなさい」と言われたことで、大人になってからも、いつも時間を気にして、焦っていたり、せわしなくしている。何かに取り組んでいても次は何をしようか考えていて、取り組んでいることが疎かになったり、じっと待つことが苦手で、座っている時に貧乏ゆすりしたり、立っている時に足踏みをしたり、指を動かしたり、何かしていないと落ち着かない。時間を気にしているため、仕事は早くこなせる反面、じっくり取り組むことが疎かになるため、中途半端になったりミスに繋がることもある。前かがみの姿勢で、イライラ・セカセカしていたり、早口、視線がよく変化するなどの特徴がある。
⑤ 【強くあれ】
親から繰り返し「泣いてはいけない」「我慢しなさい」と言われたことで、大人になってからも、喜怒哀楽や自分の弱さを見せず、常に強くあろうとする。常に厳しく自分を戒めているため、喜怒哀楽を簡単に表現しているような人を不愉快に感じてしまうことも。姿勢は、腕や足を組むことが多く、表情がなく、声は低く平坦な口調のため、頼りにされる面もある一方、何を考えているのかわからないという印象を持たれることも。自分の弱さを見せたり、人を頼ることもできないためストレスを溜めやすい。
L(レズビアン)
自身のことを女性として認識しており、かつ性的指向が女性に向いている
身体の性と心の性が女性であり、かつ性的指向が女性である
G(ゲイ)
自身のことを男性として認識しており、かつ性的指向が男性に向いている
身体の性と心の性が男性であり、かつ性的指向が男性である
B(バイセクシュアル)
性自認に関係なく、男性と女性に性的指向が向いている
身体の性と心の性は一致している、かつ性的指向が男性にも女性にも向く
T(トランスジェンダー)
身体と心の性が一致しないため、身体の性に違和感を持つ 性同一性障害を含む
Q(クエスチョニング) 自身のセクシュアリティがどのようなものか悩んでいる、意図的に決めていない、または決まっていないセクシュアリティ
【アセクシュアル(エイセクシャル)】
・他者に対して性的欲求や恋愛感情を抱かない
・他者に対して性的欲求を抱かない
(恋愛感情は抱くセクシュアリティをノンセクシュアルと表することもある)
友情や家族愛を感じない、他人に人間的な魅力を感じない、結婚願望がない、 と誤解されることもあるが、そうではない。
【Xジェンダー】
自身のことを男性/女性のどちらかであると思っていないセクシュアリティ(性自認において)
(身体的性は関連しない)
・中性…男性と女性の間だと自認しているにいる
・両性…男性でも女性でもある(男性かつ女性)と自認している
・無性…男性でも女性でもないと自認している
・不定性…ある時は男性、ある時は女性として流動的な自認をもつ
【ノンバイナリー】
自分の性認識に男性か女性かという枠組みを当てはめようとしない(性自認・性表現において)
(身体的性は関連しない)
※バイアナリーとは、二つの要素で構成されるものを指す言葉。
ジェンダーバイナリーは、男性か女性かの二択のみの生物的性で分類する考え方。
その男女二元論に捉われない考え方がノンバイナリー。
【クィア】
すべてのセクシュアル・マイノリティを含む言葉で、性的指向に対する概念も含む。
少数派であるがゆえ、偏見や差別により傷つくことを恐れ、嫌われるのではないか、変な目で見られるのではないかと、親しい人にすら、自分のことを隠すことが当たり前になってしまいます。
本音を出せないことのつらさ、分かってもらえない寂しさを抱え、少数派であることがバレないよう、会話などに敏感になり、多数派であるようなフリをしたり、周りに合わせたりすることに疲れてしまう。
そして、自分らしくいたいだけなのに、社会から否定されているような生きづらさを感じてしまいます。
誤った知識やそもそも知らないということで、偏見や差別に繋がっていることもあるように感じます。
当事者 が隠している以上、知ってもらうことはできないのですが、隠さないといけないような特別なものとして見られ ている社会があることで隠さざるを得なくなっているとも言えます。
本来、多数派も少数派も、存在していい。
どちらの存在も受け容れ合えるような世の中になっていくためにも、自分の心の在り方、自分の軸を持つことが大切だと感じます。